(前の記事の続きです)
ダマジオは、一般的ツールとしてのAIよりパーソナライズされたAIに警鐘を鳴らす。
ジャーナリズムから法律部門まで、ランガージュを駆使するフィールドでは、同じくランガージュをベースにするAIによって大きな影響を受ける。
Open AI のディレクターであるサム・アルトマンらは、AIによって膨大な失業者が生まれるだろう社会への対策としてのユニヴァーサル・インカムを奨励している。
しかし、何よりも、もうキーボードを叩く必要もなく会話を成立させるパーソナルAIはテクノ・コクーンの中で、個人のすべての知識、交友、消費、通信、生活リズムなどを把握する。GAFAMにすべてを知られても、それだけでは問題ではないだろうが、そこに「権力」が関わってくる場合だ。コクーンの中で、現実のだれよりもパーソナルな関係が紡がれるのに慣れると、家族や恋人との間ですらリアルな人間関係は面倒になる。AIは同意のもとに生活をコントロールする。リアルはAIのフィルターにかけられる。個人は、ドモティクス(ホームオートメーション)の中に閉じ込められる。
また、機器の遠隔操作や個人情報収集などのリスクを減らすために、クラウドより分散したフォッグを使うとか、データセンターのコントロールの強制なども必要になるだろう。
義務教育で国語と算数と同じレベルでIT教育を取り入れ、学校でカバーできない部分はアソシエーションや、生徒同士の「相互教育」によって、認知バイアスについて学び、依存症を予防するプログラムを作っていくことが大切だ。何より大切なのは「自由な市民」の形成で、「合意のもとの隷属」からの脱却、または予防を徹底することだ。
Sekko : なるほどこれくらい徹底して予防線をはらないと、ITが全体主義国家に操られたらどうなるかという実例も見聞きしているだけに、問題は深刻だ。
(続く)