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L'art de croire             竹下節子ブログ

国立文書館で「sacrilège(冒瀆): 国家、宗教、聖なるもの」展を観る

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その前に、この展示のトップcuratorであるアマブル・サブロン・ドュ・コラーユによる解説を紹介。(La Vie N.4108)

まず「冒聖」「瀆聖」の対象になる「聖なるもの」の定義とは。

―――デュルケムの定義を採用。すなわち、「冒聖」とはある社会のある時代において「聖なるもの」とみなされているものを攻撃すること。「聖なるもの」とは、ある社会のある時代において「禁忌」によって守られているものを指す。宗教に根差すものも多いが、必ずしも「神性」とは限らない。

なぜ、今?

―――冒瀆、冒聖、異端、などの言葉は3,40年前には忘れられていたが今や「中傷」や「侮辱」、カリカチュアに至るまで議論の対象になっている。歴史を振り返って、「権力と聖なるものとの関係」「教会と国家との関係」を見ていく必要がある。

―――この展示では、現代のイスラム原理主義のテロなどから距離を置いて、14世紀の国王と教皇、司教たちの裁判記録などを公開している。教皇には霊的な権威しかなく国王の裁判権を確立したものだ。(トロワの司教を断罪する200人の証人尋問など)

ーーー1534/10/18の夜、パリ、オルレアン、ブロワなどにプロテスタントが、カトリックのドグマである「聖変化(聖体パンホスチアがキリストの肉になる)」ことへの憎悪に満ちた檄文を貼り付けた。アンボワーズにいたフランソワ一世の寝室のドアにも貼られていた。このことで、フランソワ一世のプロテスタント弾圧が激しくなり、言論をチェックするために1537年から国内のすべての刊行物を一部ずつ王立図書館に寄贈することを義務付けた。それが国立文書館の始まりだ。8 枚の檄文のひとつを今回公開している。

―――18世紀は宗教戦争もおさまり絶対王政が確立していたのにもかかわらず、合理主義が「不敬」を広めた。ボシュエは王への臣従を信心だけでなく理性のものだとしたことも反発を呼び、ロベール・フランソワ・ダミアンがナイフでルイ15世の「神聖な体」に切りつけた。この王への冒瀆は最高に残酷な拷問と処刑の対象になった。ダミアンのマントも展示されている。

冒瀆の記録とは、そのまま「聖なるもの」の衰えの記録では?

―――この展示会のために調査すればするほど、人々がいかにいつも「聖なるもの」を必要としているかが分かった。フランス革命の時代が最たるもので、革命家たちはみな理神論者で、ロベスピエールは社会秩序のために宗教は不可欠だとした。19世紀政治家で縦断暴発で死んだレオン・ガンベッタの「眼球」は「聖遺物」のようにとっておかれた。

―――フランスでは聖性は王朝の名が受肉した。革命後には王から「国家」に少しずつ移行する。国家の主導者を守るために聖性を付与するのがいいという意識があり、1881/7/29のメディアに関する法で国家の首長を中傷することが罪となった。しかしド・ゴールになるまで適用されなかった。今は国家の首長からシンボルへと聖性は移り、2003年に、国旗や国歌への誹謗が罪とみなされることになった。

―――表現の自由と、特定個人へのリスペクトを両立させるのは容易ではないが、1881年の法律と2001年の最高裁の決定が判例となっている。信仰について自由な議論は信者のリスペクトと両立する。

今のフランスで聖なるものとは?

―――文化遺産、美術館、博物館の所蔵物だ。世界大戦の犠牲者の追悼もある。パンテオンへの埋葬など非宗教的な典礼がある。しかし、必要なのは過去を振り返るだけでなく、未来に向けて共通した情熱を与えるものだ。デュルケムは宗教はモラルの共同体を形成するとも言った。今は皆がばらばらな価値観をもち、文化の多様性を称揚する。「聖なるもの」は、ばらばらの個人のものになっていくのだ。

(続く)


by mariastella | 2024-07-17 00:05 | 歴史
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