ショップでカタログを買う。ガリマール書店と提携している充実した内容だ。

文房具フェチなので一冊だけで我慢したけれどノートとおそろいのブックマークも買った。本当にここは、フランス革命がアイデンティティの基礎にあるんだなあ、とあらためて思う。
コロナ禍の後でまとめられた「疫病」をテーマにした歴史資料集。「Face aux épidémies 疫病を前にして」。これも非常におもしろい。民俗学から社会政治学、歴史と哲学と科学史、医学史を全部俯瞰できそうだ。
トランプカードのコレクションにぴったりの1793年のカードの復刻版を買った。
ジョーカーは「チェックメイト」Le mat au roi で、チェッカーで王手が詰んだこと、つまり革命で王を追い詰めて殺したことにかけている。エースは「法」で法の支配、法治国家のイメー
英語なら11がJジャック、12がQクィーン、13がKキング、フランスなら11がV(Valet)、12がD(Dame)、13がR(Roi=王)なのだけれど、RはG(ジェニー、天才、精霊)、D=L(リベルテ、自由)、V はE(エガリテ、平等)に置き換えられた。例えばハートの13は戦争の精霊、12に当たるのは信仰の自由、11は義務の平等、スペードの13はアートの精霊、12はメディアの自由、などと細かくフランス革命の理想をあてている。1793年と言えば恐怖政治だが、革命理念へのこだわりは徹底しているなあと感心する。
文書館からポンピドーセンターに向かって帰る通りの左にはじめて入る書店があった。私の一番好きなタイプの書店だ。
まるで図書館みたいだ。文学者、思想家、哲学者などの写真、ポートレートなどがずらりと飾られているのもいい。

もう、本を増やしても生きている間に全部読めそうもないので、必要最小限の資料を注文して、誘惑にかられないように書店では長く過ごさないのだけれど、このタイプの書店に入ると、あれもこれも欲しくなる。
幸い、というか、すでに文書館ミュージアムでずっしり重いカタログを2冊買っていたので、ここでは軽いペーパーバックを2冊だけ買った。
エゴン・シーレの書簡と「遅刻礼賛」。後者の著者は精神分析医で哲学者。タイムパフォーマンスなどはもちろん、時間の正確さへのこだわりから距離を置いて、寄り道したり別の道を通ったり、「時間」を取り戻し、「生きる」ことを取り戻そう、というテーマのエッセイ。