ラファエル・ナダルと言えば、パリ五輪の開会式でも聖火リレーに参加したビッグネームで、テニスに興味がない人でも名前は知っているだろう選手だが、彼のコーチング(テクニックではなく心理的サポート)をしていたという人がこんなことを話していた。
ラファエル・ナダルは子供の時からすぐれたプレイヤーだったが、父親からあるアドヴァイスを受けたという。
それは「ボールの音を聴け」というものだったそうだ。
相手のしぐさやボールを目で追うことは当然だが、それだけではなくボールの音を聴くようにというのだ。
それが、やがて、ボールの音だけでなく相手の足がテニスコートに当たる音も聴くようになる。
ラファエル・ナダルのおじいさんはバイオリニストで、バイオリンの調律しでもあったそうだ。微妙な音を聞き分ける耳を受け継いでいたのかもしれない。
四角は両眼でも170度だが、聴覚は360度、いや自分の周りすべてでキャッチできる。だから、視覚を補完してより素早く動けるというわけだ。
なるほど、そんなこともあるだろうなと思った。
野球選手などどうなのだろう。球速が速すぎると意味がないのだろうか。
ダンスでパートナーと踊る時は音楽と相手の動きとを同時にキャッチする必要があるる。音楽のアンサンブルでは指揮者の手の動きや第一バイオリンの手首の動きを見てスタートする。私のギターのトリオでは、30年も共に弾いているので、もちろん互いの音は聴くけれど、スタートなどは気配や空気の動きで分かってしまう。
すごく単純に「相手のボールをよく見て」などというのは本当にとっかかりに過ぎないのだろうというのが納得できるような気がする。