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L'art de croire             竹下節子ブログ

日本の教育費と大学の学費

いつも拝読しているブログに日本の大学の学費についての記事が引用してあった。
下の記事の後半。

>>>米国や英国の高い授業料が知られているせいか、日本の国公立大は「安い」と捉えられがちです。しかし、国立大学が多い欧州では無料に近い国がほとんどです。
 経済協力開発機構(OECD)の資料によると、欧州では学費の7~9割が政府負担、私費負担は1~4%程度が大半です。
 日本の私費負担は51%で政府負担の38%を大きく上回っています。私費負担のOECD平均は22%で、データのある38カ国中、日本はワースト4位です。
 ――米国や英国ではどの大学も学費が高いのですか。
米国でも州立大学の地元学生向けの学費は日本と大差ありませんが、ハーバード、プリンストンなど「アイビーリーグ」と言われる私立名門校の学費が際立って高く、年間数百万円から1千万円以上もかかります。
 ただ、米国には寄付文化があり、大学は民間団体や企業などから多額の寄付を得て、様々な奨学金制度を設けています。オバマ政権時代には卒業後の所得に応じて返済額が決まる「所得連動型ローン制度」ができました。高所得層でないと名門校に進学できないということではありません。
 英国は、地元学生には事実上無償のスコットランドのような地域もありますが、ケンブリッジ大学やオックスフォード大学があるイングランドでは私費負担が重く、学生たちはローンや奨学金でまかなっています<<<
 
 >>>日本の場合、公教育の平等主義が徹底していて、それ以上を求める場合は家庭の負担で塾や家庭教師をつけることが当たり前だと考えられています。このため、教育とは自分や親の努力によって獲得する「個人のもの」という意識が強く、社会の将来を担う力を育てる公共性の高い営みであるという認識が弱いと思います。
 日本では大学、短大、高専4年生、専門学校を合わせると進学率は約84%に達し、高等教育はもはや一部のエリートのものではありません。
 欧州では学部卒者の半分が大学院に進学しますが、これも経済的負担が少ないことが影響していると考えます。欧州連合の報告書によると、欧州の学生1人当りにかかる年間教育費は平均約1万ユーロ(約175万円)といいます。高等教育は、国家の将来のために重大な課題。工夫すれば日本でも公財政でまかなえる額ではないでしょうか。 (聞き手・星井麻紀)」朝日新聞2024年8月26日朝刊4面<<<

21世紀のはじめ、フランスからロンドン、NY、ボストンの大学へ留学する若者と関わった。今年も生徒が一人カナダに留学していた。

確かにフランスは安い。大学はほぼ国立だけで、学費もほとんどかからないし、親が遠くに住んでいる場合の住居手当も手厚い。
その他のエリートコースはグランゼコールだが、ビジネススクールは私立だから高額だけれど、国公立のグランゼコールは公務員養成が建前だからむしろ手当をもらえる。(卒業して私企業に就職すれば返還しなくてはならないが、企業が払ってくれるし、別のグランゼコールに登録しなおすなどいろいろなルートがある)

あるグランゼコールの生徒の最終学年を、ロンドンかハーバードか東大で学べるというのがあった。その時の東大の学費が高かったので驚いたことを覚えている。
思えば、もう半世紀以上前、私の通っていた公立高校の学費が月1200円だった。
東大は年12000円だったので月にすると1000円、高校よりも安かった。でも当時、東大生の親の平均年収はすべての大学の最高額だった。
子供を東大に入れるために私立の進学校に入れ、さらに家庭教師をつけるなど、入学以前に「投資」している家庭が多かったのだろう。

在学中に学費が突然値上がりした。半端な額ではなかった。学費値上げ反対のデモなどが組織されたが、驚いたのは、すでに在籍している学生は入学時の契約のままなので、大学院に進んでも同じ学費ということだった。だから値上げ反対運動をしている在学生は直接の利害がない。
その後、国立大学が学校法人になったり、いろいろなことがあった。私は学部、大学院と、10年も1万2千円の学費で過ごしたことになる。

アメリカの名門大学の学生とも時々話す機会があったけれど、優秀な学生はみな奨学生で無償で各国から招かれていた。カネとコネがあれば優秀でなくとも入れるけれど、全体のレベルを上げるためにはあらゆるところから優秀な若者を呼び込んでいるという印象だった。
今の日本で塾や家庭教師が「当たり前」というのは、きいていたけれど、韓国や中国のケースばかり目にしていたので、今や「中間層」が崩壊しているという日本でも教育格差が増えるのだろうか。

私のトリオは10/22の夕方にカトリック浜松教会で青少年の教育支援をテーマのチャリティコンサートを開く。


by mariastella | 2024-09-13 00:05 | 時事
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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