このブログは、主として覚書になっている。そのおかげで、今のシリア情報を考えるために「アサド」で検索したらいろいろ出てきた。まずその一部。
https://spinou.exblog.jp/20436935/
ほんとうに続くのかどうか分からないけれど、少なくとも今の時点でHTCが目指しているのは「政教分離国家」だ。そしてその点は、アサド政権と変わらない。アサド大統領はシーアの分派であるアラウィ派だが、英国生まれの妻はスンニー派だった。つまり、独裁政権でも一宗派だけを掲げる宗教国家(ワッハーブ派のサウジアラビアなど)ではない。だから、10% を占めていたキリスト教を禁ずることはなかった。
そのせいで、上のブログのインタビュー記事でもわかるが、シリアのキリスト教陣営はむしろアサドを支持していて、スンニー派に政権が移ることは阻止したかった。ところが、過激派のISが現れて、キリスト教や他の少数宗教を徹底的に破壊したから、キリスト教徒の3分の2は殺されたり国外亡命したりしたわけだ。
だから、ロシアとシーア派イランがアサドと組んでISに「勝利」したことをキリスト教徒は歓迎した。アサドの独裁や化学兵器や反対派弾圧には見て見ぬふりをした部分がある。
「悪」は宗教にあるのでなく独裁にある。独裁者が反対派や他勢力や少数者を徹底的に弾圧する時、その独裁者が「一宗教の首長」であろうと「金や汚職によって権力を掌握した者」であろうと、あらゆる手段で「より弱い者の口を封じる」という「悪」が生じるのだ。
(「民主的」国家の選挙で90%の賛意を得て大統領に選ばれたプーチン大統領は、ロシア正教との関係も良好だ。)
アサド政権の崩壊は、イスラム過激派にも歓迎されている。今度こそ「宗教国家」を創ってイランやサウジのような「国教」を制定しようと願っているのかもしれない。シャリア法を国法にしようと考えているかもしれない。
それでも、アフガニスタンで起こっていることやエジプトやイラクなどを見てきたHTCはアサドのような「政教分離国家」をつくって、しかしアサドのような「独裁政権」にはしない、という姿勢を打ち出している。アレッポのオリエント・カトリックのアルメニア人司教は、今のところキリスト教徒の不安はおさまっている、と12/11の朝、ラジオ番組を通して証言していた。これから情勢がどう変わるのだろうか。
いろいろな宗教が慈悲や平和を説いてきたにもかかわらず、人間の「悪」の衝動、つまり個人の欲望、欲動をすべてに優先させるという性癖は矯められることなく、カネの神を崇める世界ではむしろ加速し、広がっている。
人間の「種」としての存続のためにも、「殺すなかれ」は出発点にあったはずなのに。
エジプトでの奴隷生活やバビロンでの捕囚生活を送り、ようやく受肉した「神の子」は十字架につけられたという基盤を持つユダヤ=キリスト教に、打たれ強さのDNAを発揮してもらいたいものだ。