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L'art de croire             竹下節子ブログ

マヨット、フランス、アサドの「声明」、シリア情勢、

これを書いているのは12/21、
今の時点で、フランスはまだ内閣の組閣ができていない。
23日夕方、発表された。過去の首相経験者が2人入っているし、相変わらず極右、極左からは不信任案で弾劾すると脅されている)

政治的カオス状態のところに、「ノートルダム再開セレモニー」で一息ついたと思わせた時に、シリアの政権転覆とフランス海外県マヨットが大型台風に直撃されるという事件が重なった。


このことでマクロンもバイル―も自分の首を絞めている。

マクロンは、マイヨットに駆け付けて2日間滞在したのはいいとして、苦境を訴えて叫びマクロンを非難する人々を前にして、「君たちはフランスの一部であるという幸運を分かっていない、フランスでなかったらどんなM..だったか」という趣旨の言葉で反撃した。(M..は、コロナ・ワクチンを打たない人に対しても発した卑語で、マクロンって、教養があるのかと思っていたら、結局こういうタイプだったのだ。サルコジの言葉遣いを思い出す。)
対照的に、大雨の被害に見舞われたセビリア地方を見舞ったスペイン国王夫妻は、地元民から非難の言葉を浴びせられても、反論などしなかった。

マクロンは徹底的に上から目線で、フランス最貧の海外県に差別的態度をとったわけだ。国家元首としての尊厳とは無縁だ。

彼の発想は多分、この島の「住民」のかなりの部分がコモロからの不法移民だということから来ている。嵐で壊滅したスラムを形成している大半はこのコモロ移民(アフリカ大陸からの移民もいる)で、といっても、出生地主義をとるフランスは、マヨットで生まれたコモロ人の子供にすべてフランス国籍を与えている。で、「人口減少」に向かうフランスの中で、最大の出生率と人口増加を誇るのがこのマヨット県だという皮肉な事態がある。貧困率は60%にも上り、実際、通常時においても政府からの「援助」はかなりの額になっている。


(もともとマヨットもコモロもフランスの「保護領」で、1975年に、マヨットはフランス領に残る決定をし、コモロと別れたという経緯がある。その前にも、「砂糖」に目をつけたイギリスやらオランダなどが「黒人奴隷」を連れてきたなど、植民地主義時代の歴史が綿々とある。フランスがコモロ諸島を「買った」のは1940年?)


一方、新首相のバイル―はと言えば、組閣もせぬまま、マヨットにも駆け付けずに、市長を兼任しているポー市の市議会に出席したということで、ぐっと信頼度を落としている。バイル―はもとキリスト教民主主義の政治家で、最初は期待して協力したマクロンよりも、ずっと庶民の側に立つ人だと思われていたのに、みそをつけたわけだ。すぐにマヨットに行って、何を言われてもじっと耳を傾けていたらマクロンと差異化できたのに。

(2015年のウエルベックの大ベストセラー『服従』は、2022年の大統領選で極右に勝ったムスリムの大統領が首相をバイル―に指名したという話が出てくる。バイル―ならうまくやれるしカトリックも安心するだろう、という発想だった。)


で、シリア。ダマスカスの大学でまだ男女共学はあるけれど、女子学生はアバヤの着用、体をたっぷり覆う服装などを事実上強制されているという報告があった。新政権は、女性の権利を考慮した憲法の作成にかかっているそうだが、それって、基本はシャリア法だけれど、女性の地位について部分的に緩和する、ということで、性別、宗教などを問わない基本的権利としての平等とは明らかに別物に見える。これからどうなるのだろう。


と、また藤永茂さんのブログをのぞいたら、アサドの声明というのが載っていた。この通りだとしたら、大手メディアから聞こえてこないのはなぜだろう。次の日にもアサドがいかに「普通の人」なのかという記事があった。情報が飛び交う中でこれらをどう位置付けていいかまだ分からない。でも忘れないように貼り付けておこう。







by mariastella | 2024-12-26 00:05 | 時事
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/

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