フランスの名優2人が主演の2本の映画の後味がすっきりしなかったので、3本目は軽いものを、と思ってコメディとある『犬の裁判』というのを観ることにした。
一本目と同じ「弁護士」ものだが、三度咬みついたという犬を安楽死から救うためにと、無理やり裁判にもっていく女性弁護士。
風刺もきいていて、笑えるシーンもいろいろあるのだけれど、子供の虐待やらパニック障害やら、「野生」と人間と環境の問題など、実は深刻なテーマもからんでいる。
倫理問題についての法廷セッションでは、各宗教の代表が意見を聞かれて、チベット仏教の尼僧やユダヤのラビ、イスラム教のイマムまで出て来て、笑える。コスモスという名の犬が女性(女の子も含む)か咬んでいないことでフェミニストが抗議するシーンもある。
すべてが社会問題のパロディのように見えるのだけれど、コスモスがオオカミの遠吠えに反応するところから、弁護士は、本来野生の動物だった犬を家畜化した人間の責任を問いかけて最終弁論とする。
コスモスの飼い主であるホームレスを演じるフランソワ・ダミアンが相変わらずの名演で、脇を支える。
いろいろな社会問題を浮き上がらせた末に、文明と野生の関係に疑問を投げかけた最終弁論が印象的だったのに、結局は「敗訴」となり、コスモスは「処分」される。
でも、この裁判で何かが吹っ切れた弁護士は新たな道を歩み始める。
と、これも一本目の「Le Fil」と同じで、最後は弁護が効を奏さないという結末だから、ひたすら笑えるコメディを期待して観ていたので複雑だった。
三本とも、結末が予定調和ではないという意味では見ごたえがあったともいえるけれど、一本くらいはハッピーエンドのハリウッドのラブコメを見たかった気もする。