コロナ禍についてはその渦中から実にいろいろな本が出ていた。
最近出たこの本は、最も信頼感を抱けて、共感もできて、問題意識を共有できるものだ。こんな本を出してくれて嬉しい。ある程度は分っていたとはいえ、コロナ禍の舞台裏には慄然とする。
コロナ禍の総括をすることは私にとって、これから先の生き方について考える絶対の必要条件だと思っていた。
5年前、生まれてから70年近くも戦争や事故や災害や貧困や大病も知らずに生きてきたのに、そして、「自由」を国是とする国に住んでいるのに、ある日突然、「外出禁止」と言われた。外出するには「許可」がいる。無断で外出すれば罰金の対象になる。外出する目的も距離も時間も限られる。
突然、こんな理不尽な目に合わされたのに、当初は怯えるばかりだったという自分自身が理解できない。
「世間の目」が怖い自主規制の日本とちがって、「強制」しなければ従わない国柄だから分かりやすい禁止になったのだろうけれど、最初の怯えがトラウマになって、後でのレジスタンスも中途半端になったことは否めない。
子供たち、子供の親たち、若者たち、高齢者や病人、「隔離」を強制された人たちのことを思うと怒りさえわいてくる。
それでも、「嵐」が去れば、あまりにも非現実的なことだったので、人生における学びの範疇に組み入れないままに放置しつつあるのが現実だ。
パンデミー、戦争、プロパガンダ、メディア操作、SNSがますますややこしくしている情報空間で、ほんとうに大切なものは何かということを見失わないためにも、コロナ禍の検証をおろそかにすることはできない、とあらためて思う。