レオン14世が就任してからAIによるフェイクニュースがすごい勢いで増えているという。
私もごく初期に目にした。「教皇が、彼の家族を捨てて去った実の父親と再会して、和解し、赦す」という感動ストーリーでつい最後まで見てしまった。レオン14世ってどんな人? という好奇心をみなが持ったからだろう、アクセス数が多いので目に付いたのだ。私はすぐにファクトチェックして、その話が全くのフェイクだと理解したけれど信じた人もいただろう。
次に目にしたのは、教皇がピエトロ大聖堂のバルコニーで演説している画像で、スピーチで口が動いているのにかぶせてフランス語の「訳」が流れる。「火葬」についてのカトリックの新しい見解のようだ。これもアクセスが多い。
思えば、いわゆるベビーブーマーの世代が「終活」を考える年齢になったからだろう。彼らの多くは第二ヴァティカン公会議以前のカテキズムを受けているし、「火葬=地獄の炎」とか、「体がないとイエスが再臨する復活の日に体が残っていないと永遠の命がもらえない」的な原始的な刷り込みがどこかに残っているからだろう。
フランスで火葬が一般的に許可されるようになったのは確か1960年代だったように思う。カトリック教会は一度も「禁止」などしていないし、教会の地下聖堂に骨壺を納めるコーナーができるようになってからも久しい。公共の墓地でも同様だ。
それでも今もフェイクニュースとしてアクセス数を稼げるテーマなのだろう。
もっと政治的なものもある。ブキナファソのトラオレ大統領の演説について、教皇が「大統領の怒りだけではなく、アフリカ大陸全体の正義の叫び」である、と述べたというものだ。
(ブキナファソは旧仏領でフランス語圏)
これらはみなフランス語なので、他の言語でも教皇にまつわるフェイクニュースはあるのだろうか。しかし、ある意味でみな「よくできている」。何をどう書けばアクセス数を稼げるのかということもAIが計算しているということだろうか。
もっとも、わざわざ真実を装わなくても、明らかにヴァーチャルな情報でも、おもしろければアクセスしてしまう。同じようなものでも、次々と見てしまう。
私のようにそれが猫動画などならまだ大した害はないけれど、「公の存在」であることには大きなリスクを伴う時代になったものだ。