Q : イシュマエルとイサクという2人の人物のイメージが、原罪のパレスチナでの相互殺戮をインスパイアするとはどういうことですか?
A : 旧約聖書の創世記に該当するユダヤのトーラーには、このふたりが敵対していたという記述はまったくありません。創世記の第24章にはイサクが未来の妻レベッカと最初に出会った時のことが出てきます。イサクは、べエル・ラハイ・ロイから戻って来たばかりでした。そこはハガルがアブラハムとサラのところから追われてから定着した場所です。イサクがそこを訪れたのは和解のためでした。この和解がなければ互いの子孫が憎み合うことを予想したかのようでした。イサクとイシュマエルは共に父であるアブラハムを埋葬しました。(25章)イサクはべエル・ラハイ・ロイの泉の近くに居を構えると言っています。つまり兄弟は良き隣人として生きたわけです。残念なことに、イスラエルではこのストーリーは拒絶されています。
Sekko: 息子たちの子孫の和解をもとめてイサクの妻をカナン人から求めようとしなかったのはアブラハムの意向だった。21世紀の目でこの辺を読むと(いやつい最近まで世界中で起きていたけれど)、父親の意向で、「門地」によって息子の嫁選びをするなどそもそも「公正」ではない。嫁の候補もすなおに従っている。
そういえば、2006年にドイツとオーストリアとスイスの神学者たちが、「Die Bibel in gerechter Sprache(公正な言葉によるバイブル)」を出版したそうだ。神は「主」や「父」だけでなく「母」などとも訳されている。
婚姻に関する部分の訳し直しはさぞ大変だったろう。
(続く)