人気ブログランキング | 話題のタグを見る

L'art de croire             竹下節子ブログ

モルビアン巡礼  その3 サンタンヌ・ドレイ ③ (訂正あり)

バジリカ聖堂の向こうには、旧聖堂の正面にあったものが移転されている。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_19561349.jpeg
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_19564059.jpeg
聖アンナがニコラジックにはじめて名乗った言葉「私は、アンナ、マリアの母」という言葉がブルトン語で書いてある。すべてのご出現は、「見者」に分かる言葉でお告げを与えるのだ。右にある手と蝋燭は、ご出現がしばしば「手と燭台」という形だけで現れたことを表している。ニコラジックを導く「ミニマム」のご出現が続いたわけだ。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_19571656.jpeg
元の建築の上に登ってバジリカ聖堂を見る。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_19573485.jpeg

その日の夜は、バジリカ聖堂と通りを隔てた向かい側にあるレストランで。
壁や意匠がワインのコルク栓でびっしりか辿られているのはフランス的?
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_19581434.jpeg
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_19585442.jpeg

岐路に着くと満月が出ていた。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_19591263.jpeg
ホテルの朝食コーナー。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_19594277.jpeg
バジリカ聖堂よりも近いニコラジックの家(焼失した後で修復された)を訪問。
全て無料で自由に入れる。庭には聖アンナとマリア。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_20000064.jpeg

庭から家を見る。手前の井戸は昔からあるもの。入り口の両側に燭台を持った聖アンナと跪くニコラジックが配されている。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_20001714.jpeg
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_20004964.jpeg

光を掲げる聖アンナ。目が眩むほど明るかったらしい。必ず光と共に現れた。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_20011216.jpeg
アンナの持つ灯りに導かれて村人たちが奇跡の像を見つけに行く場面。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_20013533.jpeg
聖アンナが現れた場所の再現。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_06151605.jpeg
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_04540136.jpeg

巡礼者のためのミサに出席するためにバジリカ聖堂に戻る。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_04544233.jpeg
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_19545288.jpeg
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_19542158.jpeg
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_04550216.jpeg
聖堂前の泉と聖母娘像。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_04554740.jpeg
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_04563405.jpeg
聖堂に向かって左の草地にある聖母娘の像。マリアに読み書きを教えているアンナ。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_04565086.jpeg
すでに高齢だったアンナの顔はそれなりに老けていてリアル。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_04570627.jpeg
こうやっていつも本を開いているし、受胎告知の時のマリアも本を持っていたりイエスの揺りかごを揺らしながら本を読んでいたりするマリアの絵柄もある。でも、おそらくこの時代のユダヤ世界ではまだ羊皮紙でもなくパピルスに書かれた聖典であって、いわゆる製本はされていなかったと思われるのだけれど、どうなのだろう。
母娘の前にニコラジック。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_04574463.jpeg
このニコラジックという人の証言の記録は、実はこれまでに調べたどんな御出現よりも衝撃的だ。15世紀のジャンヌ・ダルク裁判と復権裁判でもわかるように、基本的に聖書に書いてある以外の奇跡に懐疑的なカトリック教会は、「御出現」の目撃者にはいつも懐疑の目を向け、異端扱いしてきた。その結果、執拗な質疑と拒絶の詳細な記録がされていない。残されている。
その上で、たとえ御出現だの奇跡だのが公式に認定された場合でも、「目撃者」を修道院に囲い込んだり、死ぬまで名を秘匿したりするケースがほとんどだった。ところが、このニコラジックはあまりにも「普通の農民」であり、聖アンナからの微に入り細に入る具体的なアドブァイスや物質的な援助まで得た稀有な例なので、いまだに列福列聖がされていない。
でもブルターニュのこの地が一代巡礼地となるまでの話にはあまりにも説得力がある。
(ニコラジックのケースを読んでいくと、古今東西の文化における「ご出現」「あの世との交信」の実例を見る目が刷新される。このケースを『実録「ご出現」』として書き下ろす予定なのでこうご期待。)

バジリカ聖堂の裏手には第一次世界大戦の死者を弔うチャペルのドームが建てられている。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_04591316.jpeg
ここの磔刑像はなんとなくプリミティブで痛々しい。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_04593891.jpeg
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_04595111.jpeg
ドームの中に、ブルターニュの司教区ごとの戦死者を弔うチャペルがしつらえてある。これはその一つ。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_05001922.jpeg
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_05004399.jpeg
上に登ると祭壇があり、向こうにバジリカ聖堂が見える。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_05005668.jpeg
ドームを離れて、1984年にヨハネ=パウロ二世が来た時に野外ミサを上げられるようにしつらえたステージ跡を見る。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_05011448.jpeg

敷石のひとつひとつを信徒がはめていったとかで、すべてにそれぞれのイニシャルが入っている。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_05012913.jpeg
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_05014347.jpeg


側には海難救助の聖母娘像。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_05021040.jpeg
この後、資料室や「宝物展」に行く。
モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_06134563.jpeg

フランスにしてはめずらしく、すべての撮影が禁止だった。
宝物というより、この土地の信仰の歴史と、聖アンナに祈って得た奇跡の数々の「証拠品」が陳列されていて、感謝の言葉や奇跡の様子が開陳されているから「個人情報」があり過ぎて撮影禁止なのだろうと納得がいく。
ありとあらゆる「奇跡の加護」の例がある。
恐ろしいのはたとえば、あらゆる種類の針、ピン、釘、金具などが並べてあって、どれも誤飲したものが聖アンナに祈ったことで吐き出されたという経緯が名前や日付とともに書いてある。
でも読んでみると、例えば、三歳の子供が針を呑み込んで、父親が必死に吐き出させようとしている脇で母親が聖アンナに祈った、というような話。
でも、パニックに陥っただろう親のことを思うと、きっちりと感謝の報告をしておきたいという気持ちも分かる。

ヴァンヌに戻るために呼んだ車。イーロン・マスクのテスラ車にはじめて乗った。

モルビアン巡礼  その3   サンタンヌ・ドレイ ③  (訂正あり)_c0175451_05023407.jpeg
(続く)




by mariastella | 2025-10-12 00:05 | 宗教
<< モルビアン巡礼  その4  ... モルビアン巡礼  その2 ... >>



竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
以前の記事
2025年 11月
2025年 10月
2025年 09月
2025年 08月
2025年 07月
2025年 06月
2025年 05月
2025年 04月
2025年 03月
2025年 02月
2025年 01月
2024年 12月
2024年 11月
2024年 10月
2024年 09月
2024年 08月
2024年 07月
2024年 06月
2024年 05月
2024年 04月
2024年 03月
2024年 02月
2024年 01月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
カテゴリ
検索
タグ
最新の記事
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧