Q : 2025年の4月、それまでEUの学術研究委員会が、あなた方の研究資金について問題にしたことが、ボロレのメディア・グループ、フィガロ紙、フランスの欧州担当相によって報告されました。。あなた方の研究が、ムスリム同胞団を支える影響があるかもしれないという疑いを持たれたからです。それについてどう思われますか ?
A : 私たちは確かに、コーランが私たちの文化の一部をなしているということを文献学によって示しました。
それは極右ナショナリストにとってはまずいことです。彼らにとってはヨーロッパの歴史は白人とキリスト教から成っているからです。
ムスリム同胞団との関係などはばかげています。
私たちの研究は、彼らの抱くイスラムの幻想や純粋性を批判するものです。私たち歴史家の仕事のひとつは彼らのヴィジョンを解体、脱構築することです。
過去とは、現在も同様ですが、多様なもので、さまざまな言語や文化や宗教の混在したものです。それを認めたくない人は私たちの研究を否定するでしょう。
(終わり)
Sekko : エジプトに遠征するナポレオンが、航海中に何度もコーランを読んでいたというのは有名だ。プロテスタントが出現した後でコーランが出版されて神学論戦に使われたという話はまったく初耳だった。確かに、コーランの中にもイエスは救世主とされているし、聖母マリアもイスラム教の中で重要なキャラクターだ。
ユダヤ教を母胎とする一神教世界の中で、その「神」のオーラが支配者の権威に利用される歴史は長かったし、必ず「聖典」が問題にされるのだから、歴史研究におけるその知識は重要だとあらためて納得。
驚いたのは、この研究をベースにして歴史BDが発売されていることだ。
研究論文よりずっとハードルが低いから、若者たちに読まれて、互いの理解を深めるきっかけになればいいのだけれど。
以下、念のための注。
ボロレグループはフランスの多国籍企業。輸送と物流では業界最大手グループのひとつで、 広告と通信の部門もある。
ムスリム同胞団については日本語のwikipediaをリンクしておく。