オマール・ヨセフ・スレイマン先日、オマール・ユセフ・スレイマンのインタビューを聴いた後、まだ38歳のこの詩人、作家、ジャーナリストの稀有な半生と才能と分析力に感嘆した。
まず、2013年にフランスに亡命した時にはフランス語をまったく話せなかったというのに、今は、フランス語で本も書くし詩作もするし、インタビューに答えるのを聞いてもまったく訛りひとつないネイティヴ同様のフランス語だ。 それにも感嘆するけれど、2年前にようやくフランス国籍を獲得し、フランスの極左とラディカル・イスラミスト(フランスをシャリア国家にしようとする)との癒着を徹底的に調べ上げた「悪の共犯」という著書の質の高さは驚くべきものだ。(出版前に極左LFIから妨害が入ったが無事公開された。)
彼のプロフィールもリンクしておくが、訳するのが面倒なので半生についてのフランス語のwikiの当該箇所のgoogle翻訳を以下に貼っておく。
>>>シリアの伝統主義スンニ派の家庭に生まれたオマール・ユセフ・スレイマンは、5歳の頃からコーランやアル・ムタナッビー、アル・マーリといった詩人に出会い、古典語に親しむことを唯一の目的としていた。父は歯科医で、理系だった。詩への興味を育み、ハリール・ジブランやエリア・アブ・マディといった現代作家の作品に出会った。9歳の時、故郷の古本屋でポール・エリュアールの詩集(アラビア語訳)を発見。その現代性に感銘を受け、父親は「異教徒」への愛を非難したにもかかわらず、何度も読み返した。13歳から16歳まで、家族と共にサウジアラビアに渡った。コーラン学校に入学し、オサマ・ビン・ラディンを崇拝する側近たちに囲まれて暮らした彼は、自らを英雄視し、アフガニスタンへの出征を夢見ていた。ターハ・フセインを読んだことでイスラーム以前の詩人たちと出会い、彼らの啓蒙を受け、コーランを批判的に再解釈するようになった。
2003年、家族はシリアに戻った。ポール・エリュアールの詩はムハンマドの言葉よりも価値があると彼が主張したことで、父親は彼を勘当した。彼は家族を離れ、ホムスに定住し、大学でアラビア文学の講座を受講した。学業を続けながら地元の新聞社で働き、2006年に古典様式の詩集『四季の歌』を出版。その後『目を閉じる』を出版し、クウェートのサウアード・サバーハ賞を受賞した。 2011年、彼は1963年以来施行されていた非常事態宣言に対する抗議活動に参加した。
内戦勃発に伴い、O.Y.スレイマネは抵抗運動に決意を固め、血なまぐさい弾圧の様子を撮影し、国際テレビ局に配信した。政権の秘密警察に追われていた彼は、2012年に父親が暴行と脅迫を受けていることを知り、密かにシリアからヨルダンへ脱出した。そこからフランスに渡り、亡命を認められた。
言語を全く知らない国に到着した彼は、ボビニーの中学校で外国人向けの講座を受講しながら、アラビア語で論文や詩集を出版した。 2016年、詩集『死は酔っぱらいを誘惑しない』でアメリ・ミュラ賞を受賞した。 彼は現在、アルベール・カミュやポール・エリュアール、そして彼が敬愛するクリスチャン・ボバンの詩作など、多くのフランス作家の作品を母国語で読んでいる。「私はエリュアールの言葉に安らぎを見出しました」と彼は記している。2016年12月、彼は国際哲学大学(Collègeinternational de philosophie)のプログラムディレクターに一時的に就任した。<<< 以上。
これほど頭脳明晰で早熟な子供が、9・11後にサウジアラビアのコーラン学校で学び一時は「洗脳」された体験のおかげで、彼はイスラミストの論理を熟知している。 シャルリー・エブドのテロリズムが起こった時も、彼はムハンマドを批判したり揶揄したりすることの「表現の自由」をはっきりと支持した。 2010年代にフランスに大量のシリア難民が入って来たことは社会問題にもなったけれど、スレイマンのような天才に活躍する場を提供したのだから有意義だったのだと今にして思う。今の極左は別として、フランスの「移民難民」に積極的にフランス語教育、共和国教育をする姿勢は長い目で見た本当の豊かさの共有を生む。 (といっても、彼より数年若く、幼い時に亡命してすぐにフランス市民権を得て教育も受けた女性がLFIの活動家になってイスラミストとの関係を作っているケースもある。) フランス語のwikipediaに引用されていた彼のフランス語の詩の一部の美しさにも感動した。とても翻訳できない。こういうものを読むと、そもそも詩の翻訳など可能なのかという問題に突き当たる。原詩の詩人と同じ感性を持った人が、変換ではなくて「パラレルワールド」へ移し替える(産みなおす)しかない。 « Dans mon œil
— Damas, je te salue, 2e partie: Dans la foule del'exil, 2024.
by mariastella
| 2025-10-26 00:05
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