聖ジェロ―の祝日は10/13だった。
9世紀後半に生きたこの人は、ローマ教会に列聖された修道者でも司祭でも殉教者でもないはじめての市井の聖人だ。
市井といっても、伯爵号を持つ領主だった。
幼少時は体が弱くて、多くの本を読み聖人伝や説教やローマ法なども読む早熟な子供で、敬虔な心を身につけた。
領主となってからは、剣術、馬術、鷹狩り、すべてに長じる勇者となり堂々とした体躯は周りを圧倒したらしい。
訴訟沙汰を裁く時には、その前にワインを飲まず必ずしらふで臨んで判断したというのも具体的だ。(逆に言えばフランスでは一日三食ワインを飲むのが普通だった。)
死刑を言い渡さざるを得なかった場合も、絞首刑にするための特別な「蔓」を森の中からとってくるように言い渡し(その森にはその蔓がないことを知っていた)、けっきょく刑が執行されなかったというエピソードもある。
戦いにおいても、降伏の意を示した敵が近づいて来るときには、味方の兵に、剣の鞘を前にして迎えよ(つまり剣を抜くことができない)と指示して、敵の警戒心を解くのだった。
(彼が列聖された後、両親も聖人の列に加えられた。このロジックもはじめての例だったのだろう。)
強くて大きくて権威もあり、(兵などの)暴力装置も指揮できる権力者こそ弱い者に寄り添うという「キリスト教の理想」を体現したこういう人って、なかなか魅力的だなあと思う。(世界中の権力者に見習ってほしい)
日本語版はなかったのでフランス語のwikiを貼っておく。画像を見ると、こんな人が最初の「市井の聖人」になったんだなあと感慨深い。特にステンドグラスの像が印象的だ。オリアックに修道院を建てた。晩年の7年間は視力を失っていたのに目力が生き生きしていたので気づかれていなかったというエピソードも載っている。