「Mr.ノボカイン」があまりにも暴力的でサディックだったので、気分を変えるために邦画を観ることにした。コロナ禍の初期に横浜港で足止めになったクルーズ船での出来事だ。
フランスにいてもネットを通して当時の事情を追っていたし、船に乗り込んだ医療者が元の勤務先に戻るのを忌避されるとか、家族まで差別を受けるなどの話は知っていた。毎夕医療者に拍手するフランスとはだいぶ違う空気だし、コロナ禍の日本で暮らすのはウィルスよりも「世間の目」の方が怖いなあと思っていた。
実際は、クルーズ船のスタッフも努力してプロフェッショナリズムを発揮していたし、藤田医科大学というところが残った全員を引き受けたこと、移送中に重症化する人もいたが、けっきょく死者も出ず全員を退院させることができるなど、関係者の「努力が実った」そうで、ほっとする。
SNSの功罪というのも恐ろしいし、恐怖を煽るメディアの姿勢や責任を回避したい役所、役人の態度もリアルだ。
この頃、フランスはまだコロナは「中国」という距離感があって、その後で「イタリア」に火がついた時の驚きは強烈だったことを思い出す。
「感染症」に対する態度は人間性を露わにするし、行政の取り組みにも国民性が反映される。
この映画を制作したことは、コロナ禍に対する反省にとって大きな意味を持つだろうと思った。