ベートーベンの弦楽トリオを練習し始めて2ヶ月以上になる。
何といっても、至福なのは右にバイオリン、左にチェロの音を聞いて、地上と天上の世界の架け橋になっているような気分。
もっと素晴らしいだろうと妄想するのは、シューベルトの五重奏。
バイオリンが右手に二つ、チェロが左側に二つ。
「両手に花」という至福だけれど、聴き手を想定すると、真ん中に座っているのは落ち着かない。シューマンの五重奏の時はピアノの役割が大きかったので目立たずに済むし、オーケストラだと隠れるし、そもそもヴィオラのパートは初見でも何とかなるようなものが多い。
でもこのトリオN.9-1は、同じ速いパッセージをヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが次々に追いかけるように弾く場面がいくつかあって、私は苦労する。
何度も練習すると、さすがに運指は慣れてくるのだけれど、音が安定していない。つまり、弓と弦の角度がうまく行っていない。
ボーイングが全てだなあとあらためて思う。最初の5年くらいはボーイングの技術練習もかなりしたはずだけれど、後は、週一回の室内楽の練習や年に数回ほどのイベントくらいで、音楽を合わせるのはまあ慣れているので楽にこなせたので、ボーイングの基礎練習などもうどこかに忘れていた。
ニテティスのトリオとはもう30年以上弾いていて、彼らのレベルは解釈面でも技術面でもプロなので、「呼吸が合う」のも自然だ。
でも、ヴィオラの私も含めて、アマチュアの弦楽トリオの中では、仲間に絶対の信頼が置けない。自分自身にも自信がない。で、ところどころ破綻してしまう。
なんというか、ヴァイオリンとチェロに囲まれた最高に贅沢な時間であると同時に、ベートーベンの音楽に命を吹き込むどころか、はるかに遠いところでぐずぐずしている自分の技術の足りなさを思い知らされる謙虚の学校みたいでもある。
学べること、学ぶ必要があること、全てに感謝したい。