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L'art de croire             竹下節子ブログ

『ノートルダム・ド・パリ』のこと

年末の12/30、好きな曲がいろいろあるのに観たことのなかったなつかしいミュージカル『ノートルダム・ド・パリ』をパレ・ド・コングレに観に行った。
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その前にすぐ近くのDa Francoでディナー。
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ベーコン乗せ子牛肉
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会場では早速プログラムを購入。20€。今の日本円にするととても高価。
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1998年の初演もパレ・ド・コングレだった。3723席の大劇場。満席だった。
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冒頭の「カテドラルの時代」、ガル―の熱唱は何度もメディアを通して視聴したけれど、今回はガル―ではない。
ガル―の熱唱で最高だったのは、2024年の12月、ノートルダムが2019年の火災の後、修復工事を経てはじめて公開されたセレモニーで、正面扉で歌ったものだろう。
フランス語のこの人気ナンバーがあってよかった、とつくづく思った。オリンピックの開会式のエッフェル塔での「愛の賛歌」より感動させられる。

このミュージカルがこれだけ世界的な人気を博したのに、日本公演が地味で英語ヴァージョンだったらしいのは不思議だ。日本語バージョンもなかったようだ。韓国では韓国語バージョンもあって、何度も上演されている。

で、2013年の日本版を検索すると、こういうのが出てきた。

なるほど、「アニメ『ノートルダムの鐘』の原作であるユゴーの小説のミュージカル化」とある。日本人にはアニメが最初に思い浮かぶらしい、
で、さらに調べると、そのアニメをミュージカル化した劇団四季の公演が今も続いているらしい。フランスのミュージカルを翻訳したり、フランスから招いたりするコストを考えると、劇団四季で十分という感じなのだろうか。でも劇団四季の『ノートルダムの鐘』の宣伝動画を見る限りでは、12/30に観たもののような迫力は感じられない。
フランス版ミュージカルは、すべてがフランス語の歌だけでできていて、フランス語というのは歌われると聴き取りにくい言葉だというのもネックになっているかもしれない。バロックオペラの時代は王侯貴族が配られた歌詞を手元で見ながら追っていた。
私もフランスで最初にミュージカル『レ・ミゼラブル』を観た時は、当時はまだ字幕(フランス語の歌詞)が同時に写されるというようなシステムがなかったから、歌詞の多くが聴き取れなくて、フランス語がまだうまくないからなのかと思ったことがある。
日本語やイタリア語なら子音と母音が組み合わさっていて一音にあてられるから聴き取りやすいのだけれど、フランス語は歌より「語り」に適しているのだ。
でも、フランス語で上演して日本語字幕を出すだけでも、良さは伝わると思うから、日本のミュージカルファンともぜひ分け合いたかった。
といっても、今回は、オペラと違って字幕はない。オーケストラでもないし端に近い席だったので、前のスピーカーから聴こえる歌と、舞台とが一致しなくて最初は違和感があったのだけど、そのうち慣れてきた。

まるでリサイタルのような構成で、その都度拍手が起きるし、スマホで好きな曲を動画で撮っている人までちらほらいた。劇場スタッフも近くにいるのにスルーだ。
だから私も一つだけ舞台を撮影。
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終った後。客席総立ちで拍手。
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何よりも感動的だったのは、総立ちの観客が、歌手たちといっしょにスタンダードナンバーの「カテドラルの時代」を歌ったこと。録画もしたけれどこのブログには重すぎて貼り付けられなかった。
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初演から30年近く経っている。初演の時には生まれていなかったような若者たちから、子供連れ、シニアまで、観客の層は厚い。

このミュージカルの中には、カテドラルに入ったエスメラルダが感動して何度もアベマリアと歌うシーンがある。(ノートルダムとは聖母マリアのことでフランスの筆頭守護聖女)
エスメラルダに恋するフロロ司教の葛藤の独唱も大迫力だ。

そして、「カテドラルの時代」は、老いも若きも、全ての人を巻き込む。

それを見ていて、2019年にノートルダムの火災の際に、まるでフランス中が嘆いたかのような様子を思い出した。政教分離であれ、宗教離れや無神論であれ、ノートルダムが文化とアイデンティティの中心をなしているのだと腑に落ちる。
日本の文化的アイデンティティでこのように世代を超えてエンターテインメントにまで昇華されたものがあるのだろうか。歴史や伝統にまつわる音楽や演劇は、「古典」としてくくられていて、若者が歌えるようなものではない。
けれども、「フランス文化」は日本で人気で、マンガで『ベルサイユの薔薇』までヒットさせ、アニメにも宝塚歌劇にもなり、フランスにまで届いた。だからパリ発のの『ノートルダム・ド・パリ』を必要としないというわけなのだろうか。

そういえば、日本のアニメやミュージカルの『ノートルダムの鐘』というタイトル。
私の子供の頃からユゴーの原作は有名だったけれど『ノートルダムのせむし男』というタイトルだった。
そのタイトルのインパクトが『美女と野獣』のように強かった。
ディズニーの映画のタイトルは「ノートルダムのせむし男」なのだけれど、日本では放送禁止用語にかかるのか、「ノートルダムの鐘」となったようだ。「鐘突き男」でもよかったと思うけれど。

今回の公演でもう一つ堪能できたのははダンスと振り付けののすばらしさ。

クラシックダンサーたち。
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アクロバット・ダンサーとブレイクダンサー。
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いろいろなことにあらためて思いをはせることのできた観劇だった。









by mariastella | 2026-01-02 00:02 | 音楽
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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