定期購読しているリベラル・カトリック雑誌『La Vie』の新年号に、不穏な空気が広がる世界でどのように勇気や力を見つけるかについて「実用哲学」を標榜する哲学教授シャルル・ペパンが答えている。勇気と信頼、信仰と愛について実存的問いに答える記事を読んでいこう。(LA VIE No 4193 2026/1/8号 p 11~13 より意訳)
(今検索したら、この人の哲学入門書は日本でもいくつか翻訳されていた。フランスは今でもバカロレアの哲学試験が全ての高校生に課せられている。フランスが最低限の哲学の教養を要請するのは、教会による「霊的な教育」を廃止したフランス革命の後で共和国が課した代替教育だったのだ。日本語での訳書は高校生向けとなっているが、一般教養としてぜひ読んでほしいものだ。)
Q : 生きる指針や意味が失われていく社会で、生きる力をどこからくみ上げられるでしょうか?
A : その質問は私がリセや企業で講演する時に何度も投げかけられます。すべてが悪い方向に向かう世界でよりよく生きることや、確固としたものが消える社会のどこに力を求めることができるか、などです。その答えの最初の要素は、力や勇気をまず志向するのではなく、「喜び」を求めることです、喜びが私たちに勇気を与えてくれるからです。哲学者のクレマン・ロッセは、真の喜びというのはいつも何かに妨げられた状態、逆らった状態だと言っています。
全てが良しというのは自分へのごまかしです。地球がエコロジーの危機にあり、プーチンやエルドガンによって戦争の危機があるなどすべての悪条件を意識してから不幸になるのではありません。力の源となる本当の喜びは、逆説的なものです。不幸になってもいいあらゆる悪条件がそろっていても、それでも喜びを生きることができるのです。