下に紹介する本は小説だが、同時代を生きた実在のイエズス会士と、回心した一人の過激な女性闘士との物語だ。
イエズス会士はピエール・オリヴァンPierre Olivaintで、普仏戦争後のパリ・コミューンの時代にパリで殺された。
Pétroleuse という言葉の日本語訳が分からないが、パリ・コミューンという短命な労働者国家がナポレオン三世なき政府をベルサイユに追いやってパリを占拠した時に、石油をかけて町に火を放った女性たちのことだ。「ペトロール」というのが石油のこと。石油女というところか。
彼女らはパリ20区で聖職者や憲兵らを含む何十名をまとめて銃殺した。その中にイエズス会のオリヴァン師もいたわけだ。
ブルジョワや聖職者から解放される理想郷を夢見たフェリシー・ジメ(Félicie Gimet)という女性がその虐殺の先頭に立ったとも言われている。
その女性が、コミューン倒壊後、女子修道院の刑務所に収監されて死刑宣告されたがオリヴァン師の日記を読んで回心し、修道院長による救命嘆願が受け入れられて修道女になったと言われている。でもその実在性ははっきりしていない。(小説では、オリヴァン師の墓所を訪れて回心したことになっているらしい。未読。)
パリ・コミューンの悲惨さはいつ紐解いても暗い気持ちにさせられるが、その中で一軍の女性たちが街を火の海にしたり体制側の男たちの殲滅を主導したという話は特に衝撃的だ。その中心人物による「回心」の物語は「聖霊の働き方」というものについて考えさせてくれる。