2026年の展望についてIpsosが30ヶ国に対して行った調査によると、世界全体の状況について楽観的に見ているという割合が71%、フランスでは41%だったらしい。フランス人の90%は生活が楽になるとは考えていず、56%は今より苦しくなると答えたという。そして生活を改善するための戦いのベースにはしばしば「憎しみ」があって、不寛容や暴力に走る傾向がある。生きる困難から逃れるために「敵」を特定して戦いを挑むわけだ。
哲学者のファブリス・ミダルは、敵と戦うよりも、なにを救うべきか、守るべきもの、伝えていくべきものは何か、ということを日常の中で考えていかなければならないという。
力に訴えてはならない。
アルベール・カミュは、過去のどの世代にも世界を変えねばならないという気持ちがあったとしても、自分の世代こそ、この世界が崩れてしまうことを防ぐという最大の使命がある、と言ったそうだ。カミュが生きたアルジェリア戦争の時代、市電が爆破され、テロ行為が頻発し、無辜の子供の命も奪われた。そんなものは「正義」ではない。レジスタンスが破壊への意志につながるならそれはさらなる憎悪を招くだろうとカミュは言う。
それに対して、同時代のサルトルは、アルジェリアで一人の植民者を殺すことは、1人の暴君を消して一人の被害者を救うことだ、と言った。
なんだかなつかしいアジテーションのように響く。
暴力による変革を防ぐ別の方法は、「パンとサーカス」というやつで、支配者が民衆に娯楽を与えて不満を抑え込むというやり方だ。今の時代はスマホの画面がその機能を果たしているのかもしれない。
敵の同定、悪の同定ではなく、価値あるもの、残すべきものをこそ同定して、それをどのように伝えていくか、を常に考えなくてはならない。