バレンタインデーに、公営のカルチャーセンターみたいなところでベートーベンの弦楽トリオを弾いた。ジャン・マルタンのヴァイオリンとスティーブンのチェロ。

上の記事に書いたようにこの二つの楽器の間で弾けるのは至福なのだけれど、公開演奏となると、楽しむ余裕はない。でも「練習は裏切らない」という点は、自分としてはまあまあパスだけれど、トリオとしては、テンポ、音程、強弱、全てを完璧にというレベルには達していない。ギターのトリオ・ニテティスではもう30年もプロの二人と弾いているので阿吽の呼吸もあるし、音楽的な要求も高いので、私は恵まれているとあらためて思う。ヴィオラでも、もうすぐプロとしてデビューするレベルの瞳ちゃんと定期的にバロック曲のデュオを練習し、バロック音楽のプロのアドバイスを受けているのも贅沢だ。
でも、アマチュアでも、こうしてベートーベンの楽譜から音楽を呼びおこすことができるのは奇跡のようなことだと思う。「恵み」としか思えない。
ちょうど25年前のバレンタインデーに、サウジアラビアのリヤドで英国大使館のコンサートに招待されたことを思い出した。町の花屋では赤いバラの花が宗教警察によって全て切り取られていた。その夜のコンサートはまさにレジスタンスのようで、奏者が赤い花のアクセサリーをつけて現れるとみなが拍手した。
音楽は、「無償の愛」のシンボルでもあるとしみじみ思ったことを覚えている。