書棚で本を探していたら、まったく偶然に、雑誌が目についた。読んだ気配もなく新品同様に見えたけれど1998年7月別冊とあるので、27年以上前の雑誌だ。この雑誌自体が今はもうない。

うーん、そういえば、この雑誌が出た1998年の前には大事件が続いた。1995年の初めに関西大震災が起こり、3月に地下鉄サリン事件が起こり、5月に麻原が逮捕され、1997年には酒鬼薔薇聖斗事件が起こったのだ。
いろいろな「文化人」がこれらの事件についてさぞいろいろなコメントを発しただろう。
当時の私は夏休みにひと月だけ日本に帰り、講演を頼まれたり、編集者と打ち合わせなどをするリズムだった。
特にオウムの事件については友人のスタンスが問題にされて、私も距離をとらざるを得なかった。この本の特集の中でも書かれている。
東大関係の人のことしか良く分からないけれど、蓮見重彦さんの息子さんがミュージシャンであることをこの記事で知った。(その後49歳の若さで亡くなったそうだ。)
この中で叩かれている「タレント文化人」の中には今は亡くなった方もいるし、今でも大きな影響力を持っている人もいる。2011年の震災と原発事故、インターネット、SNSの広がりは、「文化人」のあり方や発言に大きな影響を与えた。「文化人」は「インフルエンサー」へと移行し、そのあり方も変わった。
私のようにSNSから距離を置く人もいる。
でも、オウムの麻原の裁判を傍聴していた元信者が私の書いた『カルトか宗教か』を読んでからは「尊師」から発していると感じていたオーラが消えた、と書いているのをインターネットで見つけた時の感慨は忘れられない。(今振り返ると、逮捕された時の麻原はわずか40歳だったわけだ。)
この半世紀、日本と物理的に距離を置きながら、通信環境のめざましい変化を見てきた。この雑誌で叩かれている同世代の「文化人」たちもみな、同じような変化を生きてきたのだと思うと仲間意識が芽生えそうなくらいだ。
この特集のおかげで当時の日本の「文化人」ネットワークなどを俯瞰できて、今の視点でふるいにかけて取捨選択できるテーマがいろいろと見えてきた。
「紙の媒体」の恩恵もあらためて感じることとなった。