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L'art de croire             竹下節子ブログ

イエスの名で癒す

(前の記事の続きです)

さて、今回何よりも驚いたのは、実演コーナーというかアトリエで、イエスの名で一般客の「治癒」を行っていたのを見たことだ。腰が痛いとか背中が痛いとかいう人が、参加すると、患部に手を当てて大声でイエスの名を呼び、力を喚起して、痛みをとる。

完全に取れなかった人には、「電話番号を渡しますから、遠慮なく連絡してください。遠隔でイエスのエネルギーも遅れますから、全て無料ですから」、と言っていた。

治療チームの確信度が伝わってくるので、これなら一瞬痛みを忘れるかもしれない。自己暗示もあるだろう。サン・ニコラ・シャルドネ教会の癒しのセッションに参加したことはあるし、福音派のミサの中継で、癒しの場面を視聴したこともある。肩関節炎で肩拘縮が起こった時は、さまざまな「霊能者」や治癒師をドクターショッピングしたこともある。ルルドなど癒しの巡礼地にも行った。

祈りによる奇跡の治癒の事例はいくらでもあり、さまざまな文献を読んできた。


でも、こんなにすんなりと、ただ、「イエスの名で癒しを求めると聞き届けられる」と確信しているらしい数名のグループの発するエネルギーには驚いた。

すべて無料です、癒すのは私たちではなくてイエスだからです、と強調する。


私にはどこも痛いところがなく「お試し」できなかったのは残念だ。

あとから考えると、別に「痛み」でなくとも「不調」を治してもらってもよかったかもしれない。

でも、その時は、このグループの「正体」を知りたくて、セッションの後で彼らのブースに行って、リヨンやマルセイユから来たというメンバーにインタビューすることにした。

彼らはとにかく、聖書を読んでくれ、イエスは12弟子や、その後は72人を各地に送りだし、イエスの名で悪魔を払い癒しの業をするようにと言った。弟子が、「イエスの名で癒しをやっている別の人間がいる」と報告した時、イエスは、結果が良ければOKみたいなことを言っている。その伝統からすると確かに、教義やらヒエラルキーと関係なく、イエスに救いを求める者は誰でも聞き届けてもらえる。


>>イエスは十二人を呼び集め、あらゆる悪霊を追い出し、病気を癒やす力と権能をお授けになった。そして、神の国を宣べ伝え、病人を癒やすために遣わす<<(ルカによる福音書9,1~2)


>>そして、その町の病人を癒やし、『神の国はあなたがたに近づいた』と言いなさい。(同10,9)


>>七十二人は喜んで帰って来て、言った。「主よ、お名前を使うと、悪霊どもでさえ、私たちに服従します。」<<(同10, 17)


とある。


このグループにとって、聖書の一番大切なメッセージは、「苦しんでいる人、病んでいる人」にイエスの癒しという恵みが届くように多くの人に出会うということらしい。

そのうちの2人はプロテスタントで、1人は福音派と聞いて、布教の一環かなとも思ったけれど、カトリックもいて、特定の教会には属していないという。

それぞれの仕事もしているけれど、「使命感に駆られて」サロンに参加した。

確かに、特定の教団の宣伝もなければ、全て無料というのも確かなようだ。

すくなくとも、猜疑心いっぱいの私が「やっぱり怪しい」と疑うようなエレメントは見当たらなかった。個人名を出しているのはSilvia Perriという不自然なくらいニコニコしている女性だけだ。他のメンバーはアジア系の女性以外はみな平均的フランス人男性という感じ。

実はこのシルヴィア・ペリという女性が中心人物で、紹介にはこうある。もともと26年間医薬系の仕事をしていたが、2018 年の2月に最も偉大な治療師である「生けるキリスト」と出会った。20236 月にキリストから、治癒の使命を受け取る。

復活した後で昇天する前にイエスが言い残した言葉(マルコによる福音書16,15~18)と同じものだという。


>>それから、イエスは言われた。「全世界に行って、すべての造られたものに福音を宣べ伝えなさい。信じて洗礼(バプテスマ)を受ける者は救われるが、信じない者は罪に定められる。

信じる者には次のようなしるしが伴う。彼らは私の名によって悪霊を追い出し、新しい言葉を語る。手で蛇をつかみ、また、毒を飲んでも、決して害を受けず、病人に手を置けば治る・・・<<


というやつだ。イエスの名によって病人を治せるとは言っているが、病人が洗礼を受けていないとだめだとは言っていない。


それ以来、シルヴィアはその奉仕に携わり、多くの癒し(身体の疾患だけでなく、うつ、不安、不眠、孤独、精神的な苦悩)を見てきたという。

彼女についてサロンの紹介にある以上の情報はネットで検索しても見つからなかったのでよく分からない。


ともかく、このグループが「イエスの力で癒しを行う」ことを本気で使命としていることは分かった。彼らのブースにも、QRコードや「宣伝」らしきものはない。

イエスの名で癒す_c0175451_07171992.jpeg
イエスの名で癒す_c0175451_07173537.jpeg
昔、仏教の僧侶も含めた宗教者らが、時々集まって世界平和のためにいろいろな具体的な事項について祈っていルグループに話を聞いたことがある。
でも、たとえば「独裁者」の改心を祈っても何の効果もなかったそうだ。
こういう「祈り」の力というのは、祈っている側だけではなく、「祈られて?」いる側もそれを意識していないとつながらない。後ろめたくない人には幽霊だって出てこない。
このグループの人たちは、少なくとも、みんな本気で善良そうだった。私の質問にもすなおに答えてくれた。

帰って来てからなんだか前日のコンサートの疲れがとれたような気がした。
癒しのエネルギーのおこぼれが届いたのかも。


by mariastella | 2026-03-05 00:05 | 宗教
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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