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L'art de croire             竹下節子ブログ

日本で買った本、もらった本など

青山通りの山陽堂書店にはじめて入った。
135年の歴史を持つ老舗書店なのに、今まで素通りしていた。
なぜなら、表参道と青山通りのこの角はいつも直角に曲がらないで、青山善光寺の境内を横切って行くからだ。
そもそも表参道から青山通りを左に行くことが少ない。
右の方へはよく行く。国連大学前のマルシェ、フランスのパン屋、ウィメンズプラザの図書館、そして何より、書店と言えば青山ブックセンターがあるからだ。
青山通りを向こう側に渡ることも、根津美術館に行く以外はほとんどない。
しかもこの書店、間口も狭いから、わざわざ入ることがなかったのだ。
ところが、今回は、ギャラリーで『詩だし、星だし。』という回文展をやっているというのが目についた。
今月の言葉は「読み来たれ、本惚れた君よ」(コジヤコジさんの回文)。
すばらしい。
私の買った小冊子2つ。『だめ あめだ』
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「よるのいぬ いのるよ (夜の犬、祈るよ)」
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日本語の独特の表記がこんなにうまく使われている。
ひとつひとつの「回文」に著作権を求めるのは難しいだろうと思う。
アルファベットの回文も優れたものがたくさんあるけれど、コジヤジコさんの回文を見ていると、仮名と漢字の使いまわしの妙に感心して、日本語が理解できる幸運を思う。
翻訳絶対不可能で、作者の言葉による、

>>「偶然」と「必然」と少しの「私」が混じり合い、奇跡のような一文ができた時、まるで知らない惑星に辿り着いたみたいにうれしくなります<<

という喜びが分かち合える。

次から、日本に行くときは絶対によると決めた宝石のような書店だった。
ここで買ったのは回文の他に何冊か。その一部。
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その他、翻訳ミステリーも2冊、当分読めそうもない。

他にもいろいろな方から本をいただいた。
すぐに読んだのはこれ。
同名映画のパンフレットも。
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康宗憲さんの体験についてはこれまでも読んできたけれど、写真を見て今もお若いのに驚いた。使命感を持って生きていることはすごい。
他に李哲さんや、ひと世代上の金時鐘さんらの証言も生々しい。なるほど、1975年の在日政治犯逮捕の11.22事件から50周年にこの本が出版され、翌年の2016年に映画化がなされたわけだ。

で、今回この本を読んで知ったことで、一番つらく、複雑な思いをしたのは、『保安司――韓国国軍保安司令部の体験』という書の存在だ。
他の留学生らのように「北のスパイ」という嫌疑で拘束された後で、スパイを捕まえる側に「特別採用」された金丙鎭氏の証言は重い。
神戸生まれで大阪の名門高校出身の在日二世で、日韓バイリンガルであり、韓国人の妻と乳飲み子を人質に取られるような形で、韓国軍のために働かされることになった。彼もまた国の分断の犠牲者であることは間違いないのだけれど、結果として、「裏切者」になってしまったわけだ。
あの事件に、こんな運命をたどった人もいたのだと知って、なんだか身につまされた。もちろん、まったくの冤罪で拷問にかけられ死刑宣告された人たちのトラウマは甚大なものだと想像できるけれど、そのような同胞や、時の政権の犠牲者たちを「弾圧する」側に立たされた人の罪悪感とトラウマもいかばかりだったろう。

彼の存在をまったく知らなかったので、ネットで調べると、ソウルのカトリック教会で講演したともある。罪や赦しを考える時、加害者も被害者も「赦し」のシステムのないところでは救いが得られないというのは想像できる。
金大中もカトリック信徒だった。

日本で麻生太郎や山本太郎がカトリック、石破茂がプロテスタントだと言っても、政治的にほとんど影響がない。キリスト教徒の絶対数が1%だからだ。
でも、赦しを分かち合う国際組織としてのカトリックやプロテスタントの意義は小さくない。
今の混迷する国際情勢で、トランプが福音派、ドイツのメルツ、フランスのマクロン、イタリアのメロニーがカトリック、イギリスのスターマーが自称「無神論者」(妻はユダヤ人で2人の子供はユダヤ人学校に通う)などというのは、ローマ教皇がアメリカ人であることと共に、重要なファクターだ。

今の世は、不条理な戦闘があちらこちらで続いているけれど、だからこそ、真の「平和」には「赦し」が欠かせないということなのだろうか…。













by mariastella | 2026-06-02 00:05 |
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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