二つのフランス5月下旬の週末のフランスを見ていて、いつものことなのだけれどあらためてショックを受けたことがある。 カンヌ映画祭の華やかさと、サッカーのユーロ杯の決勝でフランスのパリ・サンジェルマンとイギリスのアーセナルの決勝戦の夜のシャンゼリゼの厳戒態勢とがあまりにも違うことだ。
決勝戦はパリでもロンドンでもなくハンガリーで行われるのに、昨年の例もあって、シャンゼリゼではサポーターの熱狂とそれに混じる100人?ばかりの「プロの壊し屋」による被害をくいとめるために、前日から厳戒態勢が組まれて、シャンゼリゼのブティックは店を閉め防護壁などで自衛していた。試合が始まったばかりの時点で、何人かのグループが警察を攻撃する場面があった。シャンゼリゼでは警察は「攻撃される」標的になるのだ。警察が「先制」することはもちろんできない。(花火用の筒入り)火薬と催涙ガスの応酬という場面になった。 その日の朝の私の生徒(中学生)2人もパリ・サンジェルマンのTシャツを着ていた。 勝利を喜ぶのは分るし、街に繰り出して騒ぐのもまあ分かるとしても、そこに必ず「プロの壊し屋」「盗賊団」などが加わって、店だけでなく車を壊したり火をつけたりするというのは、20世紀には見られなかった。今回など、警察に怪我を負わしたグループには14歳の少年までいたという。(昔のサッカーではイギリスのサポーターのフーリガンというのが暴動化するのが有名だったが、今は普通になっている。ひどいのはフランスだけだ。) 今はSNSのせいで集まるのだともいうけれど、日本でプロ野球のファンが騒いでもそんな明らかな「破壊、窃盗」「犯罪」行為は聞かない。 もちろん、「壊し屋」や「盗賊団」はフランス人とは限らず、ヨーロッパの各地から来ることは知られている。「優勝」のナショナリズムとは別のルートがあるわけだ。フランスで800 人近くが逮捕され、そのうち半分がパリとその近郊、100人以上の警官が負傷し、重傷を負った警官もいる。本来は警察に対する傷害や殺人は一般のものよりも罪が重い。でもそれは今やブレーキとならない。フランス中で、麻薬カルテルを中心に監獄、刑務所の場所が足らない。逮捕されても、拘留されるのは半数だし、せいぜい足首に電子錠をつけられて解放される程度。(各地での逮捕者などの数字は刻々変わっていったので正確ではないが、パリだけでなく大都市ではどこでも警察を攻撃する「暴徒化」があったようだ。) 警備の強化で、逮捕者数は去年より30%増えたというが、根本的な問題は何も解決していない。
で、その一週間前まで、5月には例外の「猛暑」だった南仏のカンヌでは10日以上もカンヌ映画祭が開かれていた。(日本人が初めて主演女優賞をフランス女優と共に獲得した。) 世界中からスター、スポンサー、セレブ、富豪が10日間以上も集まるカンヌ映画祭。とはいえ、プロの窃盗犯が集まるわけではなく、映画祭の間に発生した「犯罪」は2、3の宝石の盗難だけだったという。警備は怠りないのだろうけれど、重装備の警官や憲兵隊などの姿は少なくとも見られない。 メディアの目、つまり「ビジネス」はレッドカーペットに集中している。レッドカーペットの階段を登るには、専用のバッジが必要だ。ドレスコードも徹底していて、アメリカなどとは違い、男性ならたとえタキシードを着用していてもバスケットを履いていれば登れない。 それでも、中国人観光客などでレッドカーペットの上でセルフィーを撮ることだけを目的に、2000~4000ユーロも出して闇でバッジを買い取るケースもあるという。 カンヌの海岸は市の所有物だが、海岸沿いのホテル、レストランなどに高額で貸与する形になっている。その使用権を有するカフェ、レストランなどは、映画祭の期間に企画されるさまざまな会合やイベントの主催者に海岸も含めた場所をさらに高額で提供するから割が合うのだそうだ。フランスではこの時期は日の入りが午後9時過ぎなので海の眺望も十分堪能できるというわけだ。
この期間にカンヌに集まる人々が身につける宝石や衣装などは、シャンゼリゼに集る人々が来ているサッカークラブのTシャツと比べ物にならないだろう。
セレブであればあるほど、ビジネスであり、ビジネスであればあるほどセキュリティもビジネスの一環であるということなのだろうか。 この差に愕然とする
by mariastella
| 2026-06-05 00:05
| フランス
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