L'art de croire             竹下節子ブログ

2017年 12月 31日 ( 1 )

「テロリストは僕だった」と2017年のマクロン

「テロリストは僕だった」というドキュメンタリーを視聴して、

「ベテラン・フォー・ピース」という退役軍人たちの平和活動を知った。



沖縄からベトナムやイラクに出兵した米兵たちの証言と覚醒の意義は大きい。

沖縄の基地増設反対の座り込みなどに、沖縄の人以外のプロ市民がいるとか、在日だとか反日だとか、だから沖縄の多くの人は実は受け入れているのに「活動家」に利用されているのだ、という類の批判がもっともらしくなされることがあるが、このような運動は多様な人が協働してこそ大きな意味を持つということは前にも書いた。

そんな中に元沖縄の米海兵隊にいた兵士もいるのだということをもっと強調してほしいくらいだ。

一撃必殺、と繰り返させる兵士の「洗脳」の様子は、シリアのISの軍事訓練と変わらない。人間を殺すことについて「命令に従う」という以外のオプションしか与えられないという点ではヒットラーのナチスや世界中の死刑執行官も同じだ。

殺される方ももちろんだけれど、殺す側の尊厳もそこにはない。

兵士になれば教育を受けて、家を建てて仕事も見つかる、などという甘言に惹かれる若者たちの存在は、新自由主義経済社会が生む経済格差の結果でもある。

従軍司祭たちと話をしてみたい。

七二年前、原爆を搭載した飛行機を祝福した従軍司祭もいた。

アメリカのような国では従軍司祭の影響は看過できない。

兵士たちは故郷で「祖国のために戦う英雄」として崇められる。

死ぬか生きるかの前線では、「聖なるもの」にすがる気持ちもあるだろう。

フランシスコ教皇のようにはっきりと戦争を糾弾している首長のいるローマ・カトリックの体制に属しているカトリックの従軍司祭は、今、どういう折り合いをつけているのだろう。

沖縄の日本人信徒から慕われている米人カプチン会のウェイン師が新司教になることはどういう意味を持ってくるのだろう。

2017年、フランスのマクロン大統領は世界中からポジティヴな評価を受けた。

第一に、「先進国」を席巻しつつあるかに思われるポピリュズム国家主義者に選挙でストップをかけて勝利したことがある。

第二に、トランプの不支持と悪評が増し、イギリスの首相はブレクジットで苦戦し、ドイツのメルケル首相も過半数を確保できず弱体化している、という他の「欧米諸国」のリーダーの状態に比べて相対的に強く見える。

第三に、冷戦末期以来、他の先進国が新自由主義に拍車をかけてきたのにフランスだけが、伝統の「社会民社主義」の慣性を引きずって「規制緩和」が遅れていたのをマクロンがついに、新自由主義の中での競争力をつけることを優先的にしているので、大企業家や富裕層から大いに歓迎されている。

自分はずっと4時間睡眠で困らないから、ということで、閣僚にも結果主義の激しいノルマを課しているところはブラック企業みたいだ。

でも、これらの高評価を背景にした自信を持って、地球温暖化の問題などについては、フランスを、久しぶりに「アメリカにNOと言える国」にしている。

地球の環境を守ることと、戦争をなくすことと、武器を捨てることは、本当は一体であることだ。

2018年が未来にとってどういう意味を持つ年になるかは、私たち一人一人の覚悟にかかっている。


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by mariastella | 2017-12-31 00:05 | 雑感



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