L'art de croire             竹下節子ブログ

2018年 06月 25日 ( 1 )

『シェイプ・オブ・ウォーター』と『神様の思し召し』

帰りの機内で見た映画いろいろ (その1)

5月初めに帰仏した時に機内で観た映画について忘れないうちに記録しておこうと思っているうちにひと月以上も経ってしまった。

まずアメリカ映画

『シェイプ・オブ・ウォーター』サリー・ホーキンスリチャード・ジェンキンス

これについてはすでに少し『亜人』評の中で述べた。


孤独なヒロインに寄り添うのがゲイの黒人の老人などと社会的ハンディをいくつも持っている人物であるのに対して、彼女にセクハラ、パワハラ全開の男は典型的なWASPの白人男で、「全ての人間は神の似姿として創られた」という聖書のセオリーも、「神は私の方によく似ている」などと言う。

そして、「人間」ですらない謎の水中生物は「神の被造物」にも入れてもらえないらしく、人権も生命の尊厳も顧慮されない。


SFとファンタジーとレトロな雰囲気が交錯した不思議な映画だ。

イタリア映画『神様の思し召し』(エドアルド・ファルコーネ 監督)



 まず、このサイトからストーリーをコピー。


>>>完璧主義だが、傲慢で自己中心な辣腕医師トンマーゾを主人公に、将来は医者へと期待を寄せている息子の思わぬ告白から、ある神父と出会い、人生観がひっくり返される様子をコミカルに描いている。トンマーゾと結婚して以来、かつての輝いている自分が消えうせ、子どもが育った今、人知れず孤独を抱えている妻や、トンマーゾらとほぼ同居状態の能天気な娘、トンマーゾからは馬鹿にされながらも、愛嬌のある不動産業の娘婿と、家族のキャラクターも個性的。トンマーゾの態度が変わることで、家族との関係が変化していく様子も丁寧に捉え、トンマーゾと共に家族が再生していく姿も感動を呼ぶヒューマンコメディー<<<

邦題が『神様の思し召し』で原題は『神が望むなら』だそうで、フランス語の題は『それだけは、だめ』だ。つまり、カトリック時代に大罪である同性愛のカミングアウトを受け入れるのは、今ではトレンドで我慢するけれど、医学部にいる一人息子が大学を中退して神学校に入って神父になるなんて、それだけは、絶対受け入れられない、という意味。


イタリアと言うとカトリックのおひざ元という感じだけれど、この映画では教会の壁に落書きがあるし、立小便している者もいる。医師も、キッチンドリンカーの妻も、カトリック教会は世界一意味のない組織だ、神父は煙突掃除人と同じくらい時代遅れの職業だ、と断言する。


若者たちを洗脳している絶対に怪しそうな神父は前科者でもあり、医師は彼の欺瞞を暴こうとするが、神父はどうやら彼よりも人間としての器が大きい。

テーマは結局、宗教がどうとかではなく、「境遇がまったくちがう大人の男の意外な友情」であり、ある意味でラブストーリーだ。


ラストで事故に遭った神父が助かるかどうかという時に、若者たちは病院に駆けつけるが、医師は病院から出て教会に赴く。そこで無神論者の彼がいよいよ「神頼み」で祈るのかと思うと、一心不乱に床掃除をしだすのだ。そのシーンが実にうまい。

(続く)


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by mariastella | 2018-06-25 00:05 | 映画



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