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L'art de croire             竹下節子ブログ

2019年 06月 15日 ( 1 )

覚書から その10 聖イーヴのグラン・パルドン

ブルターニュには年間500ものパルドン(免償祭)がある。

一週間も続く大きいのは二つ。

その一つが北海岸トレギエの聖イーヴのグラン・パルドンだ。(免償祭といっても、「パルドン」とはブルターニュで特定の聖人に捧げる巡礼のことを指す。)

日本語では「聖イヴォ」と呼ばれているようだが、「イーヴ」Yvesは、イヴ・サン=ローランやイヴ・モンタンで日本でもなじみのフランス名だ。(イヴというとアダムとイブのイヴみたいだけれど、フランス語ではアダムの連れ合いはエーヴÈve という。日本語でも、日本のキリスト教新共同訳聖書ではエバだ)

で、毎年何千人もの巡礼者がやってくる聖イーヴのグラン・パルドンの特徴は、国外からも弁護士がたくさん来ることだ。弁護士の守護聖人(法律家、ブルターニュの守護聖人、貧者、未亡人、孤児の守護者でもある)だからで、ブラジルから来た弁護士団もいた。海辺だから、漁民と船員(商船、海軍乗組員)たちもたくさん来る。

20195/19の日曜にはパリのオプティ大司教も出席した。

この祭りがブルターニュっぽいなあと思うのは、頭蓋骨の入った聖遺物容れを持って行列するフォークロアっぽさだ。

こういうの。

弁護士が担いでる。

イーヴの祖父は13世紀初め、聖ルイ王と共に十字軍に加わって騎士の称号を獲得した。その息子の第二子で長男がイーヴだ。(1253年頃)

14歳でパリに出て、工芸学の終止の後で教会法を学び、オルレアンで民法を学び、1274年に一度パリに戻って神学を学んだあとで法学博士となった。

1281年にブルターニュのレンヌで教会法の法官に任命される。この法廷で、常に公正を求め、より貧しい人の側に立つことで有名になった。

31歳で司祭に叙階されている。1303年に死ぬまで、教区の仕事と法官としての仕事を掛け持ちした。

1347年、クレメンス六世(アヴィニヨンのフランス人教皇)により列聖された。

聖イーヴで特筆すべきなのは、中世において唯一、司教でも修道院長でもない、地方の一教区の司祭で聖人となった唯一の人だということだ。

聖イーヴのグラン・パルドンの特徴は普通の行列は午後や夜半なのに、昼前に、聖遺物がカテドラルからトレギエの教会に運ばれることだ。ふたつの村の境界で、旗や十字架の交わる演出があり、その後でまたカテドラルに戻る。20世紀には聖俗兼ねた祝祭となった。1936年に「弁護士のパルドン」となり、国際的な巡礼が組織されたけれど、一時は下火になった。1960年代末に、祝日の5/19ではなく5月の第三日曜日にパルドンの日を移したことで、また巡礼者の数が増えた。

そして2019年には、第三日曜と5/19が重なったのだ。


出席したパリ大司教は、司教座であるノートルダム大聖堂が使えなくなっているので、自分もカテドラルから焼け出された「難民」だから、とユーモラスにコメントした。


一度、行ってみたい。


by mariastella | 2019-06-15 00:05 | 宗教



竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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