カテゴリーの最初は「科学者」。 JeanJouzel は1987年にはじめて大気中の二酸化炭素と温暖化の関係を「証明」した。ブルターニュの農家出身というのもフランス的だ。この理論の世界的リーダーとなっている。
ValérieMasson-Delmotte もメディアで地球温暖化について発信が多く、多くの著書の中には子供たちに向けた本もある。
Auréien Barrau は異色の科学者。ブラックホール専門の宇宙物理学者。2018年の「惑星を救え」で有名になった。「我々(人間)は〈解決〉ではない、我々は〈問題〉なのだ。」とも言った。しかも、哲学博士号を持っていて、詩人でもある。見た目も長髪で特徴的。こういうタイプってすごくフランス的だと思う。 Jean-MarcJancovici 最も影響力も問題もがありそうなのはこの人。 20年も前から脱炭素エネルギーを訴えている。 このBDの原作者。
(続く) #
by mariastella
| 2023-04-02 00:05
| 時事
エコロジーが国際的な「課題」になってからもう何十年も経っている。 環境問題の国際会議も京都でも開かれたし、CO2排出制限の目標も何度も強調されている。 フランシスコ教皇も教勅ラウダト・シーで、人類共通の家である地球を救うことを訴えた。
でも、いつも、違和感がどこかにある。
そもそも「環境破壊」や「地球汚染」はみな「西洋近代工業社会」に始まり、エネルギー資源や半導体の原料など、すべて「先進国」仕様でカタストロフィに突き進んでいるという断罪や、動物愛護などがヴィーガンに進み、人間と他の動物の命の軽重を区別しない極端な運動が広がり、原子力発電は廃棄物の処理もできないその場限りの利権マターだという弾劾とクリーンで安定した電力供給という推奨とが混在している。
地球の温暖化が、人間社会の排出するCO2のせいなのか、地球でこれまでも繰り返された気候変動の流れなのかという区別もよく分からないで極端な「政策」がとられることもある。
そのことについて、分かりやすくしかも、グローバルに、人類のウェル・ビーイングの視点を失わないと期待できる特集記事を見つけた。物理学者でイエズス会の神学者と政治哲学と応用倫理学の専門家の大学教授の二人がインタビューに答えた記事を要約する前にエコロジストの分類が載っている。
以下全て、下の文献からです。 “ LA VIE ” no.4046 (2023/3/16~23) p26-51
まず、エコロジーの運動家やオピニオンリーダーのカテゴリー分け。
科学者、経済学者、運動家、哲学者、ジャーナリストという五つのカテゴリー。 #
by mariastella
| 2023-04-01 00:05
| 時事
「エレマン」という隔月誌の最新号を買った。
この「エレマン」という雑誌は、けっこう古くからあるのだけれど、今はけっこう「極右」のレッテルをはられているアラン・ド・ブノワが始めた。でもこの人は、右派らしいカトリックではなくネオ・パガニズム(新異教)の信奉者というところが私としては興味深い。で、なぜこの号を買ったかというと、2014年以来のドンバス戦争でずっとドネツク(ウクライナ表記でドネツィク?)に駐留しているフランス人義勇兵たちのレポートがあったからだ。 ウクライナ戦争以来、義勇兵というと、ロシアの侵攻に抵抗してウクライナを助ける自由諸国からの志願兵だと思うが、彼らは、フランス人でいえば、理想主義者、王党派、コミュニスト、アナルシスト、ナショナリストなどいろいろで、みな、ウクライナ軍に抵抗するロシア話者の独立派を応援するためにドネツク入りした。 そんなことは知らなかったので意外に思えた。 その中には、なんとフランスの士官学校を卒業したエリートもいるし、オペラなど現地の文化活動に貢献し続けた人もいる。彼らはコソボ戦争でのNATOの爆撃が一度も反省されなかったことを不当だと思っていて、ドネツクのウクライナ軍のやり方に義憤を覚えたというのだ。 ロシアの傭兵軍ワグネルやウクライナの「ネオナチ」などの「戦争犯罪」についてはいろいろなプロパガンダが飛び交っているが、本気で現地の平和のために命をかけてきた(と少なくとも自称する)まともなフランス人の証言には、考えさせられるところがあったので忘れないうちにメモ。
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by mariastella
| 2023-03-31 00:05
| 時事
5/7、3年半ぶり信濃町の真生会館での講座に参加します。
秋は碑文谷教会でしたが、信濃町の方がアクセスはいいかと思います。 フランスのポンマンやカナダの聖ヨセフ礼拝堂などの巡礼土産がまだ残っていますので差し上げます。この夏はサレットやノートルダム・ド・ピュイの巡礼に行く予定で、秋にも声をかけていただけたらまたお土産を持っていきます。もともと「旅のお土産」というのは巡礼から生まれたものです。日本のお伊勢参りなどもそうですが、村を代表して出かけるみたいな感じで。 フランスは干ばつで農業の被害が深刻で、雨乞いみたいな行列を地方のカトリック教会がやっているのをニュースで見ました。他にできることがない時にはフォークロアが出てくるようです。砂漠の国サウジアラビアのように海水から塩分を抜いて使うような技術って石油産出国だからできているのでしょうか。貯水池設営をめぐってエコロジー活動家の極左と警察の衝突とが激しくなっているのも不穏です。 さて、今回の講座でいただいた「お題」は、 人生をもっと豊かに―神を探し求めるのはなぜか?―のテーマ の中の、「人生の幸せについて」です。うーん、私自身はもう「もっと豊かに」というステージではないような。 #
by mariastella
| 2023-03-30 00:05
| お知らせ
『サンデー毎日』の2023/3/26号(p33~35)で宮台真司が田原総一朗のインタビューに答えているのを読んだ。 宮台の本は読んだことがない。ビデオで討論や講演を視聴した記憶はある。夫人がカトリックとかで、カトリック・シンパのイメージは持ったが、特に共感したり役に立ったりということはなかった。
でも、今回、キャンパスで「襲撃」され、実行犯が安倍元首相の狙撃犯と同じく宗教二世で41歳と同じ歳というので、宮台がそれらをどう見ているかは興味深かった。
まず最初に、その世代は「団塊ジュニア世代から始まったロスジェネ世代に属し、引きこもり世代とも重なる」そうで、彼らが大学生になったころから性的退却と「KYを恐れてキャラを演じる」営みが始まったという。性と政治と好きな趣味の話題を避けてコミュニケーション能力が著しく劣化した。彼らが小学生になった80年代半ばに子供の成育環境が急変した。子供の事故に伴う訴訟が相次いだせいで、放課後の校庭での遊びはなくなり公園の遊具が撤去された。外遊びもなくなり、家族以外の大人とのかかわりもなくなった。孤独で「見たいものだけ見る」から学習がなく、同じテーゼを反復するだけ。
これには悲しくなった。私は日本にいないから、日本の若者との付き合いは限られている。フランスに留学したり移住したりするというごく限られた人ばかりだ(その中でも接触するのは、インテリ枠かアーティスト枠かブルジョワ枠の人がほとんどだ)。KYとかいじめとか引きこもりの話題は知っているけれど、それが何十年も続くと社会に変化が起きるだろう。
宮台は2015年から、「日本という国は、経済指標と社会指標の両面ですでに終わっている」と言い続けてきたそうだ。以前はそう言うと、上場企業のエリート社員向けのレクチャーでは反発を受けたが、2021年の東京五輪があらゆる分野で日本の終焉を晒したので、今は反発がゼロ。日本人は所属集団のポジション争いにしか関心がないという劣等性があるそうだ。
これにもショックを受けた。でも、その後に続く宮台の提案には、疑問符だらけだ。 正規雇用を全廃しろ、 「春闘の賃上げ闘争をするのは日本だけだ。他国では少しでも給料の高いところにジョブホップしていく」 と言うのだけれど、これってアングロサクソンモデルしか見ていないのでは? フランスは日本とはまた別の意味で、みなが正規雇用(終身という意味ではない)を目指していたし、賃上げや労働条件改善の闘争ばかりやっている。 「欧州で生まれた共同体自治主義」を評価しているけれど、「欧州」も一枚岩ではないし、先進国内での共同体自治主義には多くの罠がある。
岸田政権の安全保障対策の大転換をお笑いだとして、トマホーク400基の購入を批判するのはもっともだと思う。でもそれに対して宮台の主張するのは「日本の重武装・中立路線」で、それには賛同できない。 「安全保障とは、軍事だけでなく、経済、文化、資源エネルギーを合わせたすべてだ」というのは分かるし、「信頼醸成」が第一というのも分かるけれど、重武装化を可能にする憲法にして装備と戦略を随時変えていく、それが米国追随をやめる唯一のやり方だと言われると…。
また「若者論」に戻って、日本の高校生で自分に価値があると思える割合は6~9% でしかなく、米国や中国では70~80%なんだそうだ。自信がないと非社交的になるか、上を見て、横を見てポジションを決める。何かを貫徹する代わりに周囲に適応するだけの流される人間となる。自己信頼がない者には産業構造を変えることなどできない。 これについては、自己防衛のために反知性主義的にふるまうのではなく、「仲間を守る情動の連鎖に掉さして、できるだけ広範に知性的に考えて行動する」ことを推奨していて、宮台は実際に子供たちのキャンプなどを主催しているそうだ。これはカトリック国でもさかんなボーイスカウト、ガールスカウト活動を連想させる。
私はフランスならもう40年も、ずっと子供たちやその子供たちが「若者」になっていくのを見ているし、その親たちともつき合ってきたので、日本の子供のことよりはよく分かると思う。もちろん子供に音楽の個人レッスンを受けさせるという時点で、親がすでに前述したインテリ、アーティスト、ブルジョワのいずれかのカテゴリーというのはあるけれど。子供たちの一人一人の未来というより、環境破壊、エコロジー言説の方が気になる。
で、次からは「エコロジスト」の立場の整理と言説の分析などについて分かりやすく展開してくれているフランスの週刊誌の記事を要約していきたい。 #
by mariastella
| 2023-03-29 00:05
| 時事
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